医療法人 天裕会 学芸大 漢方クリニック 目黒区鷹番,学芸大学駅, 漢方内科・皮膚科

花粉症

①東洋医学的にみた花粉症

東洋医学的に見ると、花粉症は体を守る「衛気(えき)」の失調です。
この衛気は五行で言うと「肺」と深い関係があります。
それと同時に胃腸と関係の深い「脾」、生命のエネルギーを支える「腎」、ストレスと関係の深い「肝」の日頃の状態が、「肺」に影響を及ぼし花粉症を生み出します。

②「肺」と花粉症

春一番に代表されるように、春は強い風が吹きます。 体にとって有害な、悪さをするものを「邪気」と言いますが、春の風はウイルスや花粉などさまざまな邪気を連れて体に侵入します(風邪 ふうじゃと言います)。

こうした邪気から体を守っているのが「衛気」です。
衛気は体表を流れる気の一部で、東洋医学では「肺」の機能の一部と考えています。鼻やのど、皮膚などにバリアのように存在し、邪気の侵入を防ぎます。

くしゃみや咳、鼻水などは花粉症でなくても見られることであり、のどや鼻の粘膜に付いた有害なものを出そうとする正常な防衛反応です。これも衛気の働きによるものです。
花粉症はこの反応が過剰に起こっていて、衛気がうまく機能していないということです。

花粉症は鼻の他、目、のど、皮膚、胃腸にまで症状が出ますが、これらの場所は東洋医学的にみるとみな「肺」と深い関係があります。

生活習慣の乱れやストレス等は「脾」、「腎」、「肝」の働きに悪い影響を及ぼし、さらに「肺」に及び、花粉症を引き起こすのです。

ではどのような生活の乱れが「肺」に影響し、花粉症を引き起こすのでしょうか。

③「脾」と花粉症


「脾」は簡単にいうと胃腸の働きのようなものです。
現代人の食生活は豊かで、体が必要としている以上のカロリーを摂りがちです。
また、1年を通して冷たいものを飲んだり食べたりする機会も多くあ
ります。
これらのことは「脾」に大きな負担をかけます。 「脾」の働きが低下すると、消化・吸収が上手くいかなくなり、吸収されない栄養物が液状のまま体内に溜まります。
この余分な水分を「湿」と言いますが、「湿」は体の正常な働きを妨げ、防衛力を低下させます。
そして「肺」に溜まると鼻水や涙のもととなります。

④「腎」と花粉症


「腎」は生命活動の源であり、生命を維持するための熱(腎陽)や水(腎陰)を蓄えています。

冷たい物の飲食は、「腎陽」を消耗し、体が冷えて「湿」を強めます。

一方、過労や夜更かし・睡眠不足は「腎陰」を消耗します。
「腎陰」の消耗は体から潤いを奪い、「熱」・「燥」・「風」の状態をつくります。「熱」・「燥」・「風」は充血や赤み・乾燥につながります。

⑤「肝」と花粉症


「肝」は体内の生理機能をスムーズに促進する働きがあります。
ところが怒りや不満、ストレス等があると、「肝」に影響を及ぼし、「肝」の働きが悪くなります。
花粉から体を守る「衛気」は体の中を流れる気の一部ですが、気の流れを調節しているのが「肝」です。
ストレス等は「肝」の働きを低下させ、気の流れがこもり、「衛気」にも影響を与えます。

また、気には体を温める作用がありますが、気がこもると熱に変わり、「熱」「燥」「風」といった状態をつくります。
その「熱」が「湿」と結びつくと、どろどろとした「湿熱」を作り出します。
目の充血やかゆみ、鼻づまりや粘っこい鼻水はこの為です。

⑥ 花粉症になる仕組み まとめ


春になると植物は芽吹き、動物も冬眠から目覚めたりと、活発に活動するようになります。
自然界が動き出すと、自然界の一部である人間の体も活発に動き始めます。
今まで体の奥に潜んでいた「気」が、体表に向かって湧き上がるようになります。
この動きに乗って、日頃溜まっていた体の歪みが体表を司る「肺」に集中します。
体表を守るはずの「衛気」が日常生活の乱れによって悪影響を受け、防衛力が低下しているところへ花粉が来ると、「衛気」はくしゃみ・鼻水・涙等で追い払おうとします。
この動きをきっかけに溜まっていた「湿」がどっと溢れ出し、大量の鼻水や涙につながるのです。

一方、熱の状態が強いとかゆみや乾燥ばかりで、体の中の余分な水分は出ないこともあります。

また、くしゃみが止まらないのは、こもっていた「気」が「衛気」の発散をきっかけに爆発するからです。

⑦花粉症のタイプ


☆冷えているタイプ
くしゃみ・水っぽい鼻水・鼻づまりはあまり強くない・寒さに弱く、冷えがある・のどはあまり乾かない、乾いたとしても温かい飲み物を欲する 等の特徴があります。
肺・脾・腎陽に問題がある場合が多いです。

☆熱のタイプ
くしゃみ・粘っこい白い鼻水・鼻づまり・目がかゆい・目の充血・のどがよく乾く・冷たい飲み物を欲する 等の特徴があります。
肺・腎陰・肝に問題がある場合が多いです。

あなたの花粉症はどちらのタイプだったでしょうか?
花粉症の仕組みや、自分の花粉症のタイプが理解できたら、対策や養生法ももうおわかりかと思います。
・カロリー過多の食べ過ぎに注意し、食べ過ぎたら運動して消化しましょう。
・冷たいものや飲み物の摂りすぎに注意しましょう。
特に午後に水分を多く摂りすぎると、翌日の鼻水・鼻づまりが悪化します。深酒はもってのほかです。
男性はビール、女性は生野菜、子供は牛乳を多く摂りがちです。
またヨーグルトが花粉症に効くと話題になっていますが、ヨーグルトも体を冷やす食べ物です。摂りすぎには注意しましょう。

・薄着で体を冷やすことは避けましょう。
・過労、睡眠不足、ストレスを改善しましょう。
規則正しい生活を心がけ、明るい気持ちで過ごしましょう。

どの養生法も難しいことはなく、簡単に実践できることばかりです。
「なーんだ、特別な秘策など何もないじゃないか?!」と、がっかりした方もいらっしゃるでしょう。
食事や睡眠等を規則正しくとり、体だけではなく、心も平安で健やかに日々過ごしている人を、この現代社会で見つけるのはなかなか難しいことです。

現代人に花粉症が急増している理由の一つがそこにある、と言っても過言ではないでしょう。是非、できるところから生活を整えてみてください。
しかし、花粉症の時期だけ熱心に頑張ってもあまり意味がありません。
季節を問わず、日頃から取りくみ、整えることが大切です。
例えば冬場にビールを多飲したり、暖かい部屋で食べるアイスは最高? と、冷たい物を多く摂ったりするのは花粉症の材料を注ぎ込んでいるようなものです。

次の春に向けて、一年を通した養生はとても大切なことです。
そして、生活を整えると花粉症だけではなく、体質も変わってくるので他の調子も改善されるかもしれません。

当院では医師による問診、舌診、脈診等により患者様の症状の状態や体質を診断し、その方に合った漢方を処方します。つまりオーダーメードの処方です。

西洋医学では鼻水や目の症状に対し、抗アレルギー薬で症状を抑えるだけですが、東洋医学では「花粉症」だけを治療の対象とはせず、その患者様の弱いところ、他のつらい症状も一緒に治療していくので、体が変わっていくこと(体質改善)を実感するかと思います。

(例えば、鼻水を主訴で来院されても、胃腸が弱いことが診断されればそちらも一緒に治療をする場合もあり、「花粉症の症状がだいぶ治まりました。胃のもたれも最近見られなくなりました!」というお声を聞くことがあります。)

花粉症でお悩みの皆さま、漢方がお力になれることがあります。
つらい症状を少しでも解消し、憂鬱な春ではなく、心地よい春を楽しみましょう。