医療法人 天裕会 学芸大 漢方クリニック 目黒区鷹番,学芸大学駅, 漢方内科・皮膚科

赤ちゃんを望まれる方へ

漢方治療を支えるもの
   ~赤ちゃんを望まれるかたへ

これから結婚する方、赤ちゃんがそろそろ欲しいと思っている方、欲しいけれどなかなかできない方、不妊治療中の方、2人目を考えている方・・・

状況は様々かもしれませんが、必要なことは同じです。
質の良い卵子ができ、受精卵が着床しやすい体を作ること。
それは、何か特別なことではなく、まずは体全体を元気にすることにほかなりません。

当院では、体質に合わせて漢方薬をお出しするとともに、生理周期に合わせて薬を変更するなどして、より妊娠しやすい体を作っていきます。

しかし、ただ漢方薬に頼るだけでなく、生活や食事に気をつけることがとても大切です。特に婦人科の検査で何も異常が見つからない場合は、ストレスなどの影響も大きいと考えられますので、それらを解消することが必要です。

フルタイムで仕事をされている女性も多くなっていますが、それでなくとも現代社会はストレスが多いものです。ストレスは、私たちが生活していくうえで避けられないものですが、あまりに強かったり長期間にわたったりすると、私たちの心身に悪影響を及ぼします。
 

ストレスの悪影響とは?

ストレスがかかっている状態というのは、自律神経の交感神経が優位になっている状態です。動物でいえば、闘っているか、逃げているかのどちらかです。こういう状態は危機的な状態ですから、生きていくうえで最も大事な心臓と脳にしっかりと血液を送るために、末梢は犠牲にされます。つまり、末梢の血管は収縮してしまうのです。したがって、良い卵子を作らなければならない卵巣や、着床の準備をしなければならない子宮に、十分な血液が届かなくなります。
 

血流が良ければ良いのか

血液が十分に届かないということは、酸素も栄養も十分に行き渡らないということです。どんなにバランスの良い食事を摂っていても、末梢にある一つ一つの細胞に栄養が行きわたらないのでは、質の良い卵子はできません。
また、血液の中で酸素を運ぶのは赤血球の役目です。どんなに血流が良くても、貧血だと十分な酸素を一つ一つの細胞に運ぶことができません。
 

「健康診断で貧血なし」は安心?

赤血球の中で酸素と結びついて細胞へと運んでいくのは、ヘモグロビンというタンパクです。このタンパクが形成されるためには鉄が必要なので、鉄が不足していると酸素が運べなくなってしまいます。通常、このヘモグロビンの値を基準に貧血かどうかを判断していることが多いのですが、近年、ヘモグロビンの基準値自体が低下していて、実際に必要なヘモグロビン値より低くても貧血と言われないことが多くなっています。逆に鉄は足りていても、タンパク質が足りないとヘモグロビンが作られないので、やはり貧血になってしまいます。

また、ヘモグロビン値は低くないのに、体内の鉄が不足しているということもあります。鉄はコラーゲンを作ったり、神経伝達物質を作ったり、他にも様々な機能に必要なものなので、不足すると不調が出やすくなります。

貧血があると、細胞に酸素が運べないだけではすみません。体は、それでも何とか酸素を運ばなければとがんばります。赤血球が少ないなら回転数を上げようというわけです。つまり、心臓にがんばってもらって心拍数を上げるのです。そのために交感神経が優位になります。体は常に闘っているときのような状態になるのです。そうすると、末梢の血管は収縮してしまうので、やはり末梢の組織の細胞には酸素が行きにくくなってしまいます。

貧血を引き起こすものとして、鉄不足、タンパク不足だけでなく、亜鉛や銅、ビタミンB群の不足も挙げられます。

妊娠を希望されている方には、葉酸のサプリメントを摂っていらっしゃる方も多いと思います。確かに葉酸もビタミンB群のひとつで、胎児の成長には欠かせないものですが、葉酸だけをたくさん摂っても、他の栄養素が足りていないことには体内の代謝がうまく回りません。体は一番少ないところに合わせてしまうからです。他の栄養素もバランス良くしっかり摂る必要があります。
 

バランスの良い食事とは

サプリメントを摂ることも助けになりますが、まずはバランスの良い食事を心がけることが前提です。食事がきちんとできていないところにサプリメントを摂っても焼け石に水、効果を期待することができません。もちろん、栄養素が足りないうえに疲れすぎて何もできないような状態のときには、とにかくサプリメントをしっかり摂って、体を立て直さなければならない時期もありますが、動けるようになったらバランスの良い食事を摂るよう努力しましょう。

体の多くの部分を作っているものにタンパク質があります。筋肉、骨、皮膚だけでなく、ヘモグロビンを作っているのもタンパク質、体の中で鉄を運ぶのもタンパク質です。肉や魚、大豆などに多く含まれますが、口から入ったこれらのものは、分子の小さなアミノ酸に分解された後、体の中で新たに組み立てられてタンパク質として働きます。動物性が良いとか植物性が良いとかいうことではなく、どちらもないと体の中でうまく組み立てられません。

排卵を起こしたり、内膜を厚くしたりするのはホルモンの働きですが、これらのホルモンの材料になるのがコレステロールです。コレステロールというと目の敵のようにされがちですが、これが足りないと、妊娠に関わるホルモンを十分に作り出すことができません。また、ストレスに対処するためのホルモン、コルチゾールも同じ材料を使っているので、ストレスが多くかかっていると、コルチゾールの方にコレステロールが使われてしまい、生理周期が乱れたり、無月経になったりします。さらに、炎症を抑えるためにもコルチゾールが使われるので、体のどこかに炎症があるということは、その分、妊娠に関わるホルモンを作り出すのに不利になります。

卵細胞も、血管の細胞も、子宮内膜の細胞も、細胞の膜は脂質(あぶら)でできています。この細胞膜がしなやかでないとうまく機能できません。つまり、良い脂質を摂らないと良い働きができなくなってしまうのです。

脂質の摂り方、腸内環境の整え方など、その他食事に関しては、「アトピー性皮膚炎のかたへ」のページもご参照ください。

便通に関しては、腸内環境を整えるだけではなく、ストレスの軽減が必要です。交感神経が優位になっている状態では、どんなに食べ物に気を付けていても腸が動いてくれません。ストレスを緩和してリラックスできるような環境を整えることも大事です。
 

質の良い睡眠を

東洋医学的にも「眠れない」ことは気(エネルギー)を消耗してしまいます。気が消耗すると、水や血も足りなくなったり巡りが悪くなったりして、回復を遅らせます。
睡眠時間だけが問題ではありません。途中で何度も目覚めたり悪夢を見たりするのでは、いくら長時間眠っても疲れがとれません。寝具や部屋の温度に気を配るだけでなく、寝る前の行動や環境にも気を付けて、眠りにつきやすい工夫をしましょう。
 

ストレスを溜めない工夫

最初にも書いた通り、体の不調はストレスの影響がとても大きいものです。これをどうコントロールできるかで、治療の効果も大きく変わってきます。

日ごろからストレスを解消する方法を見つけておき、ストレスがかかっているな、というときには早め早めにきちんと解消しましょう。軽い運動、音楽、香りなど、自分の好きなものから選んでみましょう。

それでもうまく解消できないときには、漢方薬や鍼灸が役に立つかもしれません。
 

冷えについて

不妊の方には冷えの方が多いようです。冷えのタイプにもいくつかありますが、ストレスで交感神経が緊張していると、末梢の血管が収縮して冷えを生じます。この場合は、ストレスが緩和されることで血流が良くなり、冷えが解消します。

しかし、冷えは血流の問題だけではありません。運動をすると体が温まるけれど、すぐに冷えてしまうという方もいます。細胞内の様々な代謝がスムーズに行われるには、一定の体温が必要です。体の熱というのは、細胞内でエネルギーを作り出すときに一緒に作り出されるので、細胞で十分なエネルギーを作り出せないと熱が産生されず、冷えにもなります。エネルギーを作り出すためには、十分な量の食事が必要ですが、カロリーだけでなく、代謝に必要なビタミンやミネラルも必要です。そして、そのエネルギーをたくさん作り出す場が筋肉なのです。つまり、筋肉がないと、体温を維持できません。そのため、筋肉をつけるような運動も必要になってきます。

体重を減らそうと頑張って運動をする方もいますが、やり過ぎは禁物です。運動をがんばり過ぎてストレスになると、かえって逆効果です。楽しみながら、緊張をとることができ、筋肉も付けられるような運動を毎日少しずつやりましょう。